建設会社と共に高齢者共同住宅についての勉強会を週一度づつ重ね「月々10万以内でお世話」を基本に理想を追及致しました。
事業計画の最初の問題は高齢者用施設として入居者を設定する事でした。
私どもに出来る事は健常者(自分の身の回りの事が自分で出来る人)のお世話であって、重い病気を抱えている人、車椅子の人、痴呆の人、精神に問題のある人は専門の施設におまかせする事にしました。
健常者であっても種々の事情で一人暮らしを余儀なくされている方達が沢山いる筈です。そのような方が自分の為だけに作る食事の支度のむなしさ、又一人で食べるさみしさあるいは一人暮らしの不安、話し相手のいない孤独感、そのような人が集まり食事の時だけでも皆で食べる喜びを与える事が出来たらそれだけでも充分に価値がある事です。それから同居の家族関係で悩んでいる高齢者がいかに多い事を考慮すると、当山荘が終(つい)の住家でなく別荘のような自分の家と山荘を自由に行来できたらギクシャクしていた人間関係の修復に役たつ筈です。
以上のような高齢者を対象にし入居者の条件として
- おおむね60才以上の健常者であること。
- 皆と仲良く助け合い尊敬しあい仲良く生活出来る人と決まりました。
基本概念が決定してからは建設会社もプロジェクトチームを編成し限られた面積と予算の中での格闘の連続でした。個室と共有スペースのレイアウト及び浴室の設計が大変でした。建設会社のスタッフにはただただ頭が下がる思いでした。
こうして建坪80坪に10人収容でバリアフリーはもとより高齢者に対する思いやりと心やすらぐ暖炉まで備えた建物が出来上がりました。最後に書道をたしなむ私の親父に看板の字『夕日ケ丘山荘』を書いてもらいそれを櫟の木(オンコ)の一枚板に写して彫刻刀でこれから始まる夕日ケ丘山荘での生活を想像しながらコツコツと作り全てが完成致しました。
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